明日、平成22年4月1日より、労使協定を条件に、年次有給休暇の時間単位取得が認められるようになります。
時間単位の有給休暇。
一般的には、労働者に有利な取り扱いという印象はないでしょうか?
私にはそう見えます。
労働者の都合に応じて取りやすい形、選択の幅が広がるわけですから、何も労使協定を条件にしなくてもと思うわけです。
しかし、年次有給休暇は以下のような趣旨で制定されているようです。
『労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現に資する。』
従って、『まとまった日数の休暇を取得する』というのが本来の趣旨だそうです。
今回の改正の労働基準法のパンフレットにも記載してあります。
つまり、本当は、本来の趣旨から認めたくなかったが、消化率が5割に満たない現状、仕事と生活という観点から見ると、時間単位有給休暇を認めることも、労働者の希望として存在するので、やりすぎないように制限をつけて認めよう。
こんな感じになったのだと思います。
制度の内容としては、5日を最大とするというのが特徴で、使おうが使わなかろうが、毎年5日を最大とします。
普通の有給休暇と時間単位の有給休暇は日数を別にカウントするのではなく、あくまでも、通常の日数管理のうち、1年に5日分は時間単位で取得できるという考え方です。
5日以上ではなく5日を最大です。
先ほどの制度の趣旨と労働者にとっての使い勝手が相反しているので誤解しているケースも良く見られます。
いくつか就業規則にも反映させましたが、なんとまぁわかりにくい制度だこと…。
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どうやら都合よく解釈して運用されるケースが多そうです。
ただ、“労使協定を条件に取得できるようになった”だけです。
労働者の希望があったとしても認める必要はないのですが、思ったよりも、導入される事業所が多いのにびっくりしました。
元々あった制度を法律に合わせてというケースも含めてですが、このあたり、経営者の多くが、可能な限りで労働者の希望に沿うように動いておられることの証明のような気がします。
労使お互いの思いやり。
本当は、労働基準法なんて要らないのかもしれませんね。
ただ、退職が決まった労働者の豹変ぶりを何度も目の当たりにしていると、なかなか、信頼関係だけでとは言いづらいのが、この職業の性です…。
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