23日のブログの続きです。
アクセス数が多かったようで、やはり不安に感じている内容なのでしょうか?
早速、予告していた内容について回答してみましょう。
(4)途中で雇用契約が変更になり、所定労働日数が変わった場合は?
今まで週5日勤務だったのに、週3日勤務になった場合、経営者としては、10日与えた有給休暇を6日に減らしたくなりませんか?
あるいは、週3日勤務だったのに、週5日勤務になった場合、労働者としては、5日(比例付与ルール)しかもらえなかった有給休暇を10日にして欲しくありませんか?
増える・減るで、有利・不利が生じますので、明確に定まっています。おそらく通達か何かで決まっているはずですが、不勉強で明確な根拠は知りませんが、以下で間違いありません。
『有給休暇の付与日数は、付与日の労働条件によって決定され、その後労働条件が変わったとしても、日数は変更されない。』
つまり、4月1日から労働条件が変わり、4月1日が付与日であれば、週所定労働日数が増えることになろうが、減ることになろうが、新しい労働条件に基づき付与されることになります。
(5)雇用契約が一旦途切れた場合は?定年退職した場合は?
これも良く聞かれる話です。
ですが、単純な回答です。
『定年退職時も含め、雇用契約が一旦切れたとはいえ、実質継続した雇用と認められる場合は、残日数及び付与日数を決める勤続年数は引き継ぐものとする。』
ですが、定年退職時に全ての有給休暇を没収したり、とある公的機関で6ヶ月に1日足りない雇用契約を複数回継続する形で有給休暇を発生させないという取り扱いをしていたりと、少々、問題のある取り扱いが見られます。
“実質継続した雇用と認められる”というあいまいな表現がそういった状況を生んでいるのでしょうが、これを認めてしまうと、合法で有給休暇を発生させない雇用契約の形ができあがってしまいます。
→6ヶ月経過直前の休み前までで契約を切り、休み明けから契約をすれば、単に継続していない状況は作れます。
では、何日なら何ヶ月なら大丈夫という話になりますが、実態として、復職が明確であれば、休職・欠勤の取り扱いが通常であり、復職の可能性が不確定なら一旦雇用契約が切れるという程度の解釈をしておくのが無難だと思います。
(6)1日の所定労働時間数が様々な場合は、いくら払えば良いの?
医療機関にお客さまが多いので、良く聞かれます。
また、適切に運用されているケースも少ないです。
法律上定められているのは以下の通りです。
①その日に通常勤務した場合の賃金
②平均賃金
③標準報酬日額(労使協定要)
月給制で控除しないというスタイルは、『その日に通常勤務した場合の賃金』ということになります。
では、時間給で、シフト制の場合は…。
経営者の意図で明確に定めておかないと、どうして良いかわからなくなります。
単純に、週4日(月火木金)は8時間、週2日(水土)は4時間という、医療機関によくあるシフトで、時間給1,000円で考えてみます。
①の『その日に通常勤務した場合の賃金』ということになると、月火木金に休むと8,000円支給、水土に休むと4,000円支給することになります。
有給休暇の原則は日単位ですし、水土は結果的に半日ですが、1日分の所定労働として定めているものですから、水土も1日分有給休暇を減らして全く問題ありません。
②の『平均賃金』ということになると、過去3ヶ月の給与支給実績から計算することになります。
3ヶ月=90日 90日÷7日=12.857週 12.857週×40時間×1,000円=514,286円
514,286円÷90日=5,715円
平均賃金は5,715円ということになり、月火木金に休んでも、水土に休んでも、5,715円を支給することになります。
労働者にとっては、①のケースでは水・土に休むと不利です。②のケースだと月火木金に休むと不利です。
あとは、経営者として、どちらを選ぶかです。
(どちらの形かは、当然周知しておく必要があります。)
土曜日の人の確保が難しければ、土曜に休まれないように①の形を取っておくべきでしょう。
①のケースで全部月火木金に取得されると80,000円の支給になるので、金額を抑えたいなら②の形(総額57,150円)を取っておくべきでしょう。
決めていなくて、退職時等、労働者から訴え・請求があれば、基本的には労働者に有利なように処理せざるを得なくなります。
2回に分けて、パートタイマーの有給休暇について、よく聞かれることを記載してきました。
労使関係が良好で、先生や経営者のことを想って請求してこないだけで、ほとんどのパートタイマーは有給休暇の権利があることはご存知ですよ。
突然有給休暇を認めざるを得なくなると、実質的に、一気の昇級になってしまいます。
昇給や賞与時期に、その代りに認めていくという手段もありだと思います。
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