世の中には結構あるみたいです。
『明日から来なくていい。』
この禁断のセリフが発せられることが…。
禁断と言ったからには、このセリフを使うべき場面というのは存在しません。
どんなに相手に落ち度があろうとも、このセリフを使った途端、経営者は『弱者の生活の糧を奪う極悪人』扱いとなってしまいます。
このセリフが使われる多くの場合、労使共に冷静さを欠いているケースが多く、わかっていても使ってしまうわけですが…。
雇用継続、改善・指導というのが、一番好ましいのですが、それももう難しいというような場合で、何が正解かと言えば、退職勧奨に止めることです。
『ここまで来ると、雇用を継続していくのは難しいように思う。これからも一緒にやっていくには、私の意見が正しいかどうかは別にして、私が経営者であり全責任を負う以上、私の方針に従ってもらわなければならないし、こうしたことが再発しないようにしてもらわないといけない。しかし、これまでも改善指導を行ってきたが、一向に改善される気配がない。それでも改善する意向を示して雇用継続を希望するのか、そうではないのか、一日考えてきて欲しい。明日、その結果を教えてください。』
途中の部分は、その内容にもよりますが、このような流れで話を進めます。
ポイントは…。
・雇用継続か退職かの選択権が労働者側にあること。
・こちらから、明確な改善要求を提示すること。
・自分の考え・方針が正しいかどうかは別として、経営者の考え・方針として、
従ってもらわなければならない。
・最高の結果は、改善された労働者とこれからも一緒にやっていくこと。
上記のスタンスが表れていることです。
多くの場合、翌日、退社の意思表示があるはずです。
労働者側にとっては、自分の考えは正しかったが、ここでの考え方とは合わなかったという逃げ道があることが、重要でしょう。
もちろん、それまでの経緯でそこまでうまくいかないケースも多々あるでしょうが、その場合、即時解雇の場合に必要な解雇予告手当までは、本来必要なものとして急な退職になってしまったからと、特別の退職金・特別の退職金加算として、状況を和らげる道具に使う事も可能でしょう。
とにかく、常に、退職勧奨までに止めることが、トラブルを避けるために絶対的に必要な手段です。
で、言ってしまったら…。
まずは、すぐに謝ってください。
そして退職勧奨に切り替えてください。
つまり、辞めさせたいのではなく、一番の自分の希望は、○○というようなことをやめてもらって、一緒に働いていくことだと主張してください。
言ってしまったら終わりと思いがちですが、冷静さを欠いた発言は、後から検証する際には、真意ではないという説明も可能です。
しかも、他の労働者も見ています。
・何かあったときに、自分からお詫びできる経営者。
・カッとなって、即時解雇してしまう経営者。
どちらの経営者の下で働くほうが安心できますか?
おそらく、相手は聞く耳を持っていないでしょう。
しかし、『冷静さを欠いた発言をしてしまって、その後すぐに撤回した。』という事実が残ることは、その後、万一、裁判等で争う事になった場合、必ずプラスの効果が働きます。
労使間のトラブルはお互いに避けたいことです。
退職者は、自社の機密事項も知っています。
けんか別れすることに何のメリットもありません。
不幸にも、トラブルになってしまった際も、前述のスタンスを思い起こしていただき、最終的には、『方向性の違い』(仮に労働者の考え方が徹底的に間違っていたとしても)での退職に持ち込みたいところです。
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