この職業で仕事していますと、今日のテーマのような質問をよく受けます。
答えは…。
辞めさせようとしないことです。
答えになってないでしょうか?
では、何故解雇がトラブルになるのかを考えてみましょう。
(1)生活の糧を奪うから
解雇してしまえば、された側は収入が途絶えることになります。
生活に困る状況は、誰しもが避けたいところですから、収入を確保すべく戦う姿勢を見せるわけです。
(2)要らない人、ダメな人扱いされたから
解雇というのは、『お前は要らない人だ!』という通告です。
言い方を誤れば、人間否定・人格否定・存在否定になります。
これは生活の糧どころか、生存の意味すら否定することになりますから、人として正常に生きていくために当然に防衛の意味からも、『そんなことはない』と戦う姿勢を見せることになります。
経験上、トラブルの多くは、あるいは泥沼に発展するトラブルは(2)に起因していることが多いです。
そもそも、何故辞めさせようとしているのかを考えてみます。
・事業の正常な運営に支障が出るから
上記が理由であるケースがほとんどでしょう。
・遅刻や無断欠勤が多い。
・注意指導、指示を聞かない。
・間違いやミスが多く、顧客に迷惑をかけている。
・法的に問題のある行動が多い。
・他の社員に悪影響や迷惑がある。
これら全て、『事業の正常な運営に支障が出るから』でひとくくりにできます。
しかし、先にあげたような事情を改善するために、どれだけ、経営者・管理職が努力したでしょう。
自分の家族が同じような状況だったとして、その家族に対して行う努力と遜色ない努力がなされたでしょうか?
・怒っているだけで問題点の指摘も原因の追及もしていない。
・注意はしているが、行動変容のための援助を行っていない。
・悪意が取れる場合に、なぜその悪意が生じているのかを考えていない。
こうした状況では、改善がなされるはずもありません。
では、本当に、上から目線の指導ではなく、一緒に変わっていこうというスタンスで取り組んで、いろんなことを一緒に考え、その意図・行動・結果を承認していったとしてどうなるでしょう?
もしかすると、それでもダメかもしれません。
ミスマッチは起こりうることですし、そもそもの能力・向き不向きもあります。
こうしてがっつりと向き合えば、長所・短所もわかってきます。
先にあげたような流れの結果、そこへたどりついたとしたら、最後に出てくるのは、『ここよりも、あなたに適した職業・職種・職場があるのではないか?』という話です。
ここで行われるのは、解雇ではなく、退職勧奨、もっと言えば、転職の相談です。
一緒に転職先を考えたって良いではないでしょうか?
ここまで親身になって、一緒に頑張ってくれた人とトラブルを起こそうとは思いませんし、感謝こそされるはずです。
こんな面倒なことやってられない!
そうかもしれません。
しかし、こうした行程を他の社員は見ています。
また、辞めることにならず、改善に成功した社員は、今後の最も信頼できる忠実な社員になるでしょう。
経営者・管理職を信頼していない、いえ、好きではない社員が、経営者・管理職のために頑張ってくれると思いますか?
自分が満足していない社員が、顧客の満足を考えられますか?
もし、こんな面倒なことはできない、やってられない、それなら、頑張ってくれる社員のために時間を割きたいと思われる方。
それであれば、辞めさせたい方に、たっぷりと上乗せの解雇予告手当を支払ってあげて、『うちには合わないと思うので、次の仕事を探してくれないか?』と告げてあげてください。
辞めさせる人間に、ムチ打ってもろくなことにはなりませんよ。
でも…。
他の社員が噂しているかもしれません。
『俺たちも結果が出なくなったら、捨てられるのかな…。』
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