【質問】
当院ではタイムカードを採用しています。タイムカードは建物の入り口に置いてあり、みんな入ってくる時、帰る時に打刻します。
しかし、来て欲しい時間より早く来ているスタッフや、仕事が終わった後ゆっくりと雑談をしてから帰るスタッフがいます。監督署の調査などでは、タイムカードの通りに給与を払わないといけないと聞いたのですが、本当にそうなのでしょうか?
頼みもしないのに早く来ていたり、雑談をしている時間に給与を払うのは納得がいかないのですが…。
【回答】
給与を支給すべきは労働時間に対してだけですから払う必要はありません。
しかし、タイムカードに打刻されている以上、払わない場合は労働時間でないことを雇用主側が立証しなくてはいけません。
【解説】
大原則は業務を始めた時刻から業務を終えた時刻までが給与支給の対象です。
しかし、タイムカードはそれら時刻を第三者でも推定できる重要な判断基準です。
タイムカードの設置位置の見直し、業務終了時の打刻の徹底、ミーティングと雑談の明確な区分け等を行って、できるだけ実態の労働時間に近い打刻時刻になるように工夫するのが無難です。
ただし、打刻時刻が絶対ではありません。
始業時刻を打刻時刻とすれば、始業時刻前にタイムカードの前に並んでもらう必要があります。それもおかしな話です。
始業時刻前については、打刻後即時業務開始しているなら労働時間としてカウントする必要がありますが、始業時刻まで業務を行っていないなら労働時間とする必要はありません。
終業時刻についても、一般の会社の例ですが、毎日終業の定時から20分後に打刻されているケースで、この20分間は、後片付け・帰宅の準備の時間として労働時間とされなかった事例もあります。
まとめますと…
①原則はタイムカード
②しかしタイムカードはわかりやすい労働時間算定根拠資料
③明らかに労働時間でない時間は給与の対象としなくて良い
④ただし、その立証は雇用側の責任
始業前に来る、終業後雑談している、これら悪意なく行っているケースも少なくないでしょう。
ですから…。
⑤タイムカードの打刻についてお願いする。
働いている時間については全部給与を支払いたいが、働いていない時間については給与の対象にしたくない。タイムカード通り給与を支払いたいので、業務を開始する時、業務を終了した時に打刻するように徹底して欲しい。
前段の主張は至極もっともな主張ですから、訴えてかまわないと思います。
タイムカードを押さずに雑談しているスタッフを見てイライラしているよりも、ちゃんとお願いするほうが、お互いにとって良い結果を生むはずです。
それと同時にタイムカードの位置は、上記のように打刻しやすい位置に変更してあげてください。
後、始業時刻については、原則は始業時刻前はカウントしない。ただし、早く出てきて業務を行っていた場合には、印を入れてもらう等の工夫をして、タイムカード前に並ばれる状況は避けてください…。
上記のように説明して、始業時刻3分前に長蛇の列ができた事業所がありました…。
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