【質問】
退職する際に残っている有給休暇を請求されましたが、与えないとダメなんでしょうか?
【回答】
有給休暇は要件を満たした全ての労働者に発生する当たり前の権利です。拒否することはできません。
経営者として、当たり前に発生するものであるという認識をした上で、有給休暇をどう取り扱うかという方針を定めておきましょう。
【解説】
有給休暇を拒否することはできません。
経営者側には、時季変更権のみが存在しています。つまり、休んでもらっては困る時期には、有給休暇の取得日を変更してもらうことができるわけです。
退職時の有給休暇の一括請求は、経営者によって意見が分かれる内容です。
①普段取得されると困るので、退職時にまとめて取ってもらう形を歓迎する。
②辞めていく人間の権利行使という印象が強く、感情的に悪く思ってしますので、普段から目立たないように取得して欲しい。
①のケースだと、未消化分を退職金の上乗せとするようなケースもあります。
本来、法律の趣旨としては、日々の業務を行うにあたって、ゆとりある職業生活を送るために、適度に有給休暇を取得し、リフレッシュしてまた仕事に励むという狙いがあります。
そうした意味では、退職時の一括請求は本来の趣旨とはずれています。
※有給休暇の買い取りが禁止されている(時効分・退職時未消化分は除く)のは、上記のような趣旨があるからです。
①のような考え方もわかりますし、②のような考え方もわかります。
経営者の考え方次第です。
ただ、どうしても、退職時の有給休暇の一括請求が感情的に耐え難い場合は、以前、このブログでご紹介した『繰り越してきた有給休暇』『新しく発生した有給休暇』の使用順序を、『新しく発生した有給休暇から使用する』という形を採用してはいかがでしょう?
それでも完全に防ぐことはできませんが、有る程度、残日数を抑えることは可能です。
また、有給休暇は、勤務すべき日にしか取得できませんので、退職日以降に取得することはできません。
経営者側も有給休暇の残日数を考慮して退職日を確定させることで、引き継ぎの心配はありますが、残日数全てを消化することを防げるケースもあります。
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