【質問】
仕事中、社員がちょっとしたケガをしてしまったのですが、大したケガではないので、普通に診てもらって治療費を払っておこうと思うのですが…。
【回答】
業務上のケガの場合、労災保険の対象となります。
確かに、労災申請が面倒そうなので、上記のような取扱いはしたくなりますが、労災として手続きする必要があります。
車の保険などと違い、中小企業では、労災保険を使ったからと言って、保険料が上がったりなどはしません。
保険料を払っている者の当然の権利として申請してください。
【解説】
労災保険を申請すると…
これにまつわるうわさを否定しておきます。
(1)保険料が上がる。
メリット制が適用されているような一定規模以上の事業所は別として、従業員数100名未満の中小企業では、労災保険料率は固定です。
また、メリット制適用時も、自動車保険のような等級割引制度ではないので、一度使ったからどうではなく、実際に給付された額を基準に算出されます。
(2)監督署の調査が来る。
全件まわっているわけではありません。大きい事故で再発防止に努める必要があると判断した場合や、給付の決定のために確認したい事項があるようなケースでは、実際に調査が来る傾向にあります。
ただ、来た以上は、ついでに労働基準関係も見ていくケースもあります。
『労災隠しは犯罪です』
労働基準監督署に行くとこんなポスターを見かけます。
労災隠しの多くは、労災申請があることで、つまりは事故を起こしたことがあるという認識をされて、建設の入札や業者選定にもれるなどの理由から、任意保険に入ってでも隠したがっているという傾向が業界によってあるようです。
そもそも、この質問で『普通に』と記載している部分は、おそらく『協会けんぽ』の保険証を使ってというニュアンスです。
しかし、『健康保険法』の給付は、業務上のケガは給付対象外です。
にもかかわらず、給付を受けるというのは法律違反です。
経営者として、状況を把握してしまった以上は、正しい手続きで処理するのが好ましいでしょう。
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