【質問】
当社の社員が始業時刻よりも早い時間に出勤をしてきてタイムカードを打刻しています。残業の場合と同じように、早く出てきた分もタイムカード通りに労働時間となってしまうのでしょうか?
【回答】
始業時刻については、終業時刻・残業ほど、タイムカード通りにという取り扱いにはなりません。が、あくまでも労働をしているなら、当然に労働時間ですから、残業代の対象になる労働です。
タイムカードが絶対ではなく、あくまでも労働をしていたかどうかが絶対であり、第三者的な判断を行う際の代表的かつ信頼性の高いものとしてタイムカードがあるという理解が正しいかと思います。
【解説】
とある事業所で、『始業時刻前だから残業代が要らないというわけではありませんよ。』と説明した3日後、事業所から『始業時刻前にタイムカードの前に行列ができるがどうすれば良い?』という質問が来て、説明不足をお詫びしたことがあります。
タイムカードの設置場所によっては、始業時刻に業務が開始できるように、始業時刻の十数分前に出勤するのは社会人としての常識と言えます。
ですから、十数分前に打刻してあるから、それが全て労働時間と言ってしまえば、残業を防ごうと思うと、前出のような行列ができてしまうわけです。
また最近は、朝を有効利用しようという流行りもあり、早朝に出勤するケースも多く見られます。
この場合、その時間に労働をしているのか、違うことをしているのかというところで、労働時間とされるのかどうかが変わってきます。
残されて業務をしているのと、自分から早朝に出てきて仕事をしているのでは、残業代を請求される可能性、訴えられる可能性は違いますが、あくまでも朝だからではなく、仕事をしているのかどうかが判断基準になります。
ということで、労働をしているなら労働時間になるが、単に始業開始時刻に業務を開始するためにその準備に出社しているのであれば、それが社会通念上相当な分数であれば、労働時間としなくとも問題は生じません。
※ただし、始業時刻に関係なく、タイムカードの打刻直後から業務を開始する場合は、当然に労働時間になります。拡大解釈にならないよう、実際の判断は実態に応じて専門家に確認ください。
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