【質問】
退職者が同業他社へ転職するのを禁じてはいけませんか?
【回答】
職業選択の自由という考え方から、原則は難しいです。
が、経営上の重要な事項を知る立場にある者が退職する場合に、経営上かなりの不都合が出るようなケースでは禁じることができるケースもあります。
【解説】
あくまでも原則は、職業選択の自由ということで難しいです。
しかし、前出のような、『経営上の重要な事項を知る立場にある者』が、直接のライバル会社へ転職となると、そう簡単に認めるわけにはいきません。
いわゆる『競業避止義務』というものですが、一定の要件で認められているようです。
・経営上の重要な事項を知る立場にある。
・相応の賃金(管理職手当等)をもらっていたこと。
・競業先への転職を禁じる期間が限られている。
・競業先とされる範囲が、地域や業種等で限定されている。
・就業規則等で明確に定められている。
これらが要件です。
ただし、それであれば100%禁じて良いわけではなく、これらの要件を満たせば、阻止できる可能性があるという程度で理解しておいてください。
『競業避止』で検索すると、さまざまな裁判事例も出てきます。
『引き抜き』や『機密事項の開示』など、悪意的に損害を与えるようなケースでは、会社側の主張が認められたケースもあります。
しかし、単に『ライバル会社への転職』というだけでは、それを無効にするといったようなことは難しく、悪意的な損害に対する損害賠償までといった理解のほうが無難です。
大事なのは、事前に競業避止義務について認識しておいてもらって、そのような状況が起きないようにしておくことです。
何事も予防が大事ですね…。
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