【質問】
有給休暇の買い取りを求められました。禁止されていると聞いたことがあるのですが?
【回答】
有給休暇の買い取りは、『有給休暇の取得を妨げるもの』として取り扱われ禁止されています。
ただし、時効により消滅してしまった分や、退職により消化できなくなってしまったものについては、『買い取り→違法』という取り扱いは受けません。
ただ、時効消滅時に買い取ってもらえるので、有給休暇を残しておこうというマインドが働くとすれば、積極的に採用するべきものではないということになります。
【解説】
昨日ツイッターで、今日のテーマについてつぶやいていただいたので解説します。
以前、このブログでも記載していますが、有給休暇の法律の趣旨は、『日々の業務を行うにあたって、ゆとりある職業生活を送るために、適度に有給休暇を取得し、リフレッシュしてまた仕事に励む』ためにあるというものです。
ですから、有給休暇の買い取りが前面に出てしまうと、お金を多く欲しい労働者も多いわけですから、有給休暇の買い取りを希望する者が増えて、法律の目的を果たせなくなってしまいます。
また、有給休暇の付与を好ましいと思わない経営者の方が、いえ、私のような社労士が、有給休暇の買い取りを前提とした賃金水準を決定したり、賞与の一部を有給休暇の買い取り分として定義したりして、そもそもの制度自体を破たんさせてしまう可能性があります。
買い取り禁止は労働者にとって不都合に感じるかもしれませんが、上記のような対策を封じ込めるためのものでもあるのです。
回答で触れましたが、時効消滅分・退職時未消化分については、『買い取っても良い』というような見解がなされています。
が、これも積極的に行えば、有給休暇の取得を妨げるものになりかねませんし、退職金の上乗せ部分を買い取り分に定義して、実質制度破綻という状況も作りえることになります。
おそらく、一応上記のような見解はあるものの、制度破綻を目的とした悪質な時効消滅時買い取り・退職時買い取りは、トラブルになっていざ裁判となるとどう転ぶかわかりませんし、そもそもあまり推奨されるものではありませんね。
またあくまでも、『買い取っても良い』だけですので、買い取らないことも自由です。しかし、『禁止されているから』という理由は通用しません。
少しインターネットで調べれば答えが見つかるこの時代ですから、明確に『うちは買い取りはしない』、『退職金の上乗せは残存有給休暇を考慮して決定している』といった明確な説明をしてあげてください。
時効消滅分・退職時見消化分の買い取りも義務ではないので、堂々と対処してあげてください。
参考ブログ記事として、
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