【質問】
営業職には営業手当を払って残業代は不要!ほんとにそれで良いんでしょうか?
【回答】
それで良い可能性は少ないです。事業場外のみなし労働時間制が適用されているという前提があると思われますが、そもそもその定義がなされているのか、実際にその対象となりうる働き方なのかというところで、問題が生じてくると思われます。
そうなると、不払いの残業代が、日々発生している状況だと言えます。
【解説】
営業職に営業手当を払えば残業代は払わなくて良い。
そんな神話が崩れつつあるのは、みなさんご存知のようで、質問されてくるかたは、『たぶん、ダメなんだろうな』というニュアンスを持って聞いてこられます。
そもそも、この神話の根拠となっているのが、『事業場外のみなし労働時間制』です。
どういったものかと言えば、
『外回りしていて、その中で働いている時間もあるだろうし、働いてない時間もあるかもしれない。そもそも、直接お客様のところへ出向いたり、そのまま帰ったり、複数日の出張だったりすると、何時間働いているのか全く把握できない。だから、無理な業務量を言っているわけではないので、所定労働時間の労働をしたものとしちゃいます。』
といった感じです。
ただ、法律上で、大事なことがあります。
上記のざっくり説明でいうところの『何時間働いているのか全く把握できない』という部分が真実なのかというところです。
法律の文章的には、『労働時間を算定できないときは』という部分です。
前述の通り、就業規則等によって、この事業場外のみなし労働時間制について定義があることが前提ですが、定義があったとしても、『労働時間を算定できないとき』かどうかの部分で、算定できないとされるレベルがかなり高いのです。
ここの詳細部分は、過去のブログ記事を参考にしていただくとします。
で、その時に書かなかったことを記載しようと思います。
一般的には、営業職の賃金は、内勤者よりも高いことが多いです。
会社にとって、仕事を生み出して来てくれる社員が大事なのは当たり前のことです。
事業場外のみなし労働時間制が否認された多くのケースで、営業手当=残業代という話が出てきます。
たいていは、それ自体は認められても、営業手当自体が少額であるため、追加支給が必要になるという実態があるわけです。
しかし、前述の通り、営業手当以外の賃金でも当然差があるわけです。しかし、それも、内訳表記が同じだと、その差を説明することもできませんし、本来の固定時間外手当の適法条件を満たすこともできません。
『営業職には営業手当を払って残業代は不要!』というのは実際無理でしょうが、同じ支給額でも内訳と説明を本来の内容に定義してあげるだけで、かなり状況が変わるケースがあります。
出社時刻と退社時刻で、杓子定規に計算したら、不払いの残業代がいくらになるか計算してみてください。
きっと、上記の定義の変更を検討されるはずです。
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