【質問】
『1年単位の変形労働時間制』を導入すると残業が減ると聞いたのですが、本当でしょうか?
【回答】
1年単位の変形労働時間制を導入しても、総労働時間数が減らないのは当たり前です。しかし、所定労働時間数が増えることによって、残業とされる時間数が減ることにはなります。すなわち残業代も減るわけです。導入について、必要な手順があるとともに、所定労働時間数を増やす場合には、不利益変更に該当することになりますので、導入の際にはそのあたりもケアしてくださいね。
【解説】
1年単位の変形労働時間制をざっくり説明してみますと…。
『最大2085時間の労働時間を、一定の制限の中、1年間のカレンダーの中で自由に振り分けることができる制度』ということになります。
『1年を平均して週40時間を超えないように…』というのがベースです。
上記の2085時間という数字ですが、以下の算式により計算されます。
365日÷7日=52.142857週間
40時間×52.142857週間=2085.714285時間
つまり、1年間は何週間であるかを計算し、週40時間を乗じることで、年間何時間までなら、『1年を平均して週40時間を超えないように…』を守れるかというハードルを確認しているわけです。
細かく言えば、2085時間42分です…。
つまりは、2085時間42分までであれば、1年間のカレンダーの中にちりばめられていたとしても、1年を平均して週40時間を超えないという状況が出来上がるわけです。
ちなみに、この2085時間42分という時間数ですが、8時間で割り算しますと、260.71425日になります。
営業日260日、休日105日というのは、隔週土曜日出勤がほぼ可能な日数になります。
隔週土曜日出勤の会社では、1日の労働時間を7時間20分などに短くして、その分、土曜日に半日出勤してもらうような形態を採っている会社もありますが、こうして1年単位の変形労働時間制を導入すれば、1日8時間での隔週土曜日出勤も可能になるのです。
では、本当に好き勝手に振り分けて良いかというと、それは誤りであり、いくつかの制限があります。
1年単位の変形労働時間制は、1日では説明しづらいので、複数日にわたって解説しますね。
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