【質問】
私以外の社員は1人だけの会社です。それでも有給休暇を与えないといけないのでしょうか?
【回答】
休まれると困るのは重々わかります。しかし、法律上、当然に有給休暇の権利は発生しますし、年中時季変更権行使というのは少々無理があります。
なんらかの手立てを打って、有給休暇を取得してもらえるような環境を作っていきましょう。
最悪、取得できないことを労働者自身がやむなしと思ってくれて、不満につながらないような状況は作る必要があります。
【解説】
先生1人でスタッフ1人。小規模のクリニックではよく見かける人数構成です。先生は診療しなくてはいけませんから、休まれるとどうしようもなくなります。
小規模な商店なんかも同じことでしょう。
法律の流れにそっていけば、取得させなければならない、取得できるような環境を作りなさいという回答のような答えになります。
1人の社員を2人のパートに変更して少しかぶらせれば取得してもらえる、いざというときに助けてもらえる助っ人スタッフを複数名用意しておく、派遣スタッフを利用するなどが、そうした対応になるかと思います。
が、複数人にしても労働意識が低ければ、穴があくことをなんとも思わないかもしれません。助っ人スタッフや派遣スタッフもそう簡単に見つからないかもしれません。
もちろん、根本的な解決策として絶対に必要です。
しかし、現実に難しいからご相談があるわけで、そうした視点から、以降は考えてみます。
(1)買い取る
買い取りは有給休暇の取得促進を妨げることから禁止されています。しかし、時効を迎えてしまったもの、退職時に残っているものについては、消えてしまうものですから、買い取り自体禁止されていません。
買い取ってもらうことを期待して使用しないという状況が、取得促進を妨げていないのかという視点もあるので、問題がないと言い切ることもできませんが、何もしないよりはマシです。
少なくとも有給休暇の対価として渡してさえいれば、後に請求されることもありませんし、時効到達時及び退職時に限定しておけば、少しグレーな感じもしますが、現状の通達ではクリアかなと言うところだと思います。
(2)我慢してもらう
我慢してもらうのはダメなんですが、現実問題として、有給休暇を1日も取得せず、不満もなく働いている人はたくさんいます。
当然、相応の待遇であったり、仕事のおもしろさであったりということも必要になるでしょう。
労働基準法は遵守しなければいけませんが、トラブル化するのは、それが不満につながったときです。労使関係が良好であれば、どんな労働条件だってトラブルなど生じないのですから…。
ただ、労使関係がどう変わるか、どんな新人が入ってくるかはわかりませんし、有給・無給に関わらず、休めないことは大きなストレスになります。
根本的な解決策は模索していってください。
そして、あくまでも、有給休暇を取得できる環境を作っていくのが正しい正解であることを忘れないようにしてくださいね。
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