【質問】
契約期間と契約期間の間に空白期間があれば、その雇用契約は別のものとされるでしょうか?
【回答】
その実態によるというのが、一応の回答になってしまいます。
空白期間があるだけで、実態としてひとつの契約を途中で区切っているだけの状況であればひとつの契約と判断されます。
逆に、それぞれの契約期間の契約内容に連続性がなく、たまたま、短期の雇用契約が連続しただけなのであれば、別の契約として判断されることになります。
【解説】
国等の公的な組織が、この手法を使っているのを見たことがあります…。
こうして6ヶ月未満の雇用契約後、空白期間を作って再雇用し、それらを別の契約として見ることのメリットは、6ヶ月を超えないので有給休暇が発生しないこと、1年を超えないので雇い止め予告が不要なことです。
ただ、公的機関がそうしているから大丈夫だとも言いづらく、回答で説明した通り、実態として、再雇用契約を約束・示唆していたりすれば、何とも言いづらい状況になります。
では、これらがどういったときに問題になるのかということですが、労働者が有給休暇を取得できないこと、複数回の契約期間を終えた者が再度の契約を望んだが認められなかったことなどに、不服を申し入れたときです。
当然、主張は、『形式上、空白期間を設けているだけで、実質は雇用契約を更新している状況にすぎない』という形になるわけです。
そもそも、雇用側としては、上記のメリットを享受するためにそうしているわけで(雇用契約上、業務のない期間を最初に定めておいて、雇用自体継続すれば良い)、痛いところがありますから、なかなか対応に苦慮するわけです。
公的機関のケースでは、条件が良いケースが多く、有給休暇についてはある程度納得されていて、再度雇用してもらうために何も言わない可能性が高いです。
しかし、再度の雇用をしないケースで、トラブルになるケースは十分に考えられます。
ですから、労働条件に余裕がなければ仕方ありませんが、もし、余裕があれば、当初から有給休暇を消化することを前提とした募集内容に修正をして、法律上、グレーなところをなくすほうが、無難で安全なように思います。
ときどき、そうした話を聞いて導入したい旨を相談に来られる事業主さんがいらっしゃいますが、上記のような話をして、避けられることをお勧めしています。
あまり、私の周辺で問題になったケースは確かにないのですが、問題になって、お許しをいただけるのは悪意がない場合の1回目だけで、おそらく是正項目に挙がってしまうと思われます。
あと、上記に似た事例で、定年時の再雇用がありますが、相当期間、空白期間がない限り、雇用契約は継続したものとして取り扱われることになります。
では、相当期間と言いますと…。線引きは難しいですが、2ヶ月や3ヶ月だと少ないように感じます。
が、基準ではないので、注意してください。
コメントをお書きください