【質問】
法人(会社組織)は社会保険(医療・年金)が強制加入だと聞きましたが、本当ですか?
【回答】
法人は、健康保険法・厚生年金保険法において加入が強制されています。
ただ、労災保険のように、届出の有無に関係なく、法律上当然に保険関係が成立するということではありません。
あくまでも、届出によって適用事業所となります。
また、遡っての加入は、強制加入にも関わらず、かなり特殊な状況でない限り(都道府県により対応が違う模様)できないという内容です。
【解説】
法律上、強制加入であれば、労災保険のように当然に保険関係を成立させれば良いようなものですが、そこは、給付の問題があります。
従業員から集めた保険料を納めない事業所があったとすれば、給付の対象は従業員なだけに、給付の義務だけが残り、お金を回収できないようになってしまいます。
これでは、社会保険制度全体として、財政破たんを起こしてしまいます。
そのために、従来は、『加入を希望する事業所に対して、調査・審査を行って、支払い能力があると判断した事業所が加入できる。』という、強制加入とは到底言いづらい環境がありました。
社会保険庁?の改革で、そうしたスタンスはとらなくなり、新規適用時にあまりうるさく添付書類を言わなくはなりましたが、実態は、強制加入ではなかったわけです。
昔、『強制加入ですから入ってください。』というハガキが届いた事業所からの依頼で、旧社会保険事務所に電話したときの話です。
私
「強制加入なのはわかるんですが、加入してもお金を払えそうにないんですが…。」
職員
「そうですかぁ。じゃあ、入ってもらっても、すぐに適用取り消しになっちゃいますので、加入してもらっても無駄ですね。」
とまあ、なんとあっさりと…。
現在では社会保険労務士会で非適用事業所をまわって加入を促進していたりもすると聞いたことがあります。
法律の原則は強制加入です。
ほとんど多くの労働者にとっては、魅力になるでしょう。
ただ、考え方によって、一部の労働者の不満につながる可能性があります。
加入を検討するという考え方自体おかしいのですが、加入した事業所の適正な事務運営には、それなりの調査も行われます。
未加入事業所の加入についてはあまりうるさく言わず、加入事業所の非加入労働者にはうるさい。
どうも、違和感を感じてしまったりしますね…。
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