【質問】
普段の勤務態度が悪いので、わからせてやりたくて、賞与を半額にしました。問題があるでしょうか?
【回答】
下記の3点について、状況確認が必要です。
①賞与の額がどのように決められているのか?
②勤務態度の悪さは、賞与を半額にしてしまうほどのものか?
③賞与の減額までに、どの程度の注意指導が行われたのか?
④事前に減額の説明がされていて、労働者がどの程度納得しているのか?
それらを総合的に考えて、減額が適正かどうかを判断します。
多くのケースでは適正でないとされる可能性が高いです。
【解説】
①賞与の額がどのように決められているのか?
労働者には期待権という権利があります。
建前上、本人の勤務態度が悪かった場合や業績が悪い場合には減額や不支給があると定義してあっても、実際にはいつも同じ額や同じ率で支給がなされてきた過去の実績があると、その過去の実績が、慣例としてルール化してしまう場合があります。
当たり前にもらえるものだと、労働者が認識してしまうほどの支給実績が必要ではありますが、そうなっていると、簡単には減額しづらいと思ってください。
②勤務態度の悪さは、賞与を半額にしてしまうほどのものか?
賞与を半額にするとなると、通常はかなり大きな額になります。
場合によっては、1ヶ月の給料分になることもあるでしょう。
1ヶ月の給料分を減額するということは、1ヶ月の欠勤をおこなったのと同じことです。
それくらい、勤務態度が悪かったのかということが争点になるわけです。
③賞与の減額までに、どの程度の注意指導が行われたのか?
多くの経営者がやってしまうのが、口頭では注意せずに、突然給料を減額するというやり方です。
これは、最もまずいやり方です。
口頭での注意というのは、実際、やりづらいものではあります。
しかしながら、突然の減額というのでは、本人に自覚がなければ減額を防ぎようがありません。
事前に、問題点を告げて、注意して、改善を図って、その上で改善がなければ減額という段取りを踏まない限り、労働者も納得するはずがありません。④の部分は、この行程の中で、どれだけうまくコミュニケーションが取れたかという判断項目になります。
繰り返しになりますが、口頭で言いづらいから、給与を下げてわからせるというのは、最低の手段です。
普段からコミュニケーションを取って、『お願い』レベルから始めて、『問題点として指摘』、『注意』、『改善手段の検討』と進めていくことが大切です。
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