就業規則作成のポイント11 『試用期間③』

試用期間の設定についての解説を続けます。

 

①試用期間の長さ

②本採用可否判定困難時の試用期間延長

③本採用否認の可能性の示唆

④試用期間における判断基準

⑤出勤日数の少ない社員の試用期間の取り扱い

 

②まで終わりましたので、今日は③ですね。

 

 

③本採用否認の可能性の示唆

 

『試用期間だけど形だけだから…』

こんな風に言ってしまうと、せっかくの試用期間が一切役に立たないことになってしまいます。

 

もし、試用期間終了後、本採用をしない可能性があるのであれば、本採用されない可能性があるということを明確に伝えておく必要があります。

 

試用期間というのはそういうものだったりはするのですが、人事担当者が良い格好をしようと、前述のようなことを言っていたりするケースもなくはありません。

 

例えば、『試験のようなことはありませんが、試用期間終了後に本採用をしなかったケースも2名ほどいらっしゃいます。』といった事実をお伝えすることができれば、変な脅しにもなりませんので、良いのではと思います。

 

 

④試用期間における判断基準

 

一般的な就業規則にない項目で、あったほうが良い項目がこの判断基準です。

 

本採用しないとなったときにトラブルにならないようにするには、労働者の納得性も大切です。

 

・事前にチェック項目・判断基準を明確に告げられていて、その項目・基準から本採用しないとなった場合

 

・試用期間終了後に、理由とともに本採用しないことを告げられた場合

 

どちらが納得がいくでしょう。

 

どこを見られているのかもわからない状態だと、試用期間終了時に、初めて自身の行為の問題点に気づくかもしれません。

 

それが少し気をつければ直ることだったり、言ってくれれば直したのにというようなことだと、労働者としては納得がいきません。

 

試用期間中に随時注意していくことも大切ですが、あらかじめ、就業規則上でも定義しておくことも大事です。

 

 

⑤出勤日数の少ない社員の試用期間の取り扱い

 

普通の会社だとありませんが、医療機関などでは、週に1回、あるいは2週に1回の勤務などというケースも存在します。

 

そうした場合は、試用期間3ヶ月と言っても、すぐに終わってしまいます。

 

従って、週の所定労働日数が少ない労働者がいる場合は、何回勤務するまでというような定め方もあります。

 

これも極端に長いと常識的にどうかということになりますが、全員同一期間で区切らないといけないという法律も存在しませんので、必要な期間を定めてあげてください。

 

 

3日間にわたって、就業規則上、試用期間について定めておくべき内容ということで説明してきました。

 

こうして細かく定めていても、対応しきれないケースもでてきます。

 

労使トラブルを防ぐ、重要な手段である『試用期間』です。十分に検討して制定してください。

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