2014年
1月
20日
月
年明け早々、伊藤元重さんの講演を聞く機会がありました。
京都銀行さんの恒例の講演です。
で、アベノミクスがどうたらという中で、給与のアップという話があります。
とにかく、人がお金を使うことが、景気回復には大事とのことで…。
みなさんのところに恩恵は来ていますでしょうか?
私を含め(笑)、給与計算など見ていましても、さほどまだ影響は出てきていないように思います。
が、よくよく考えてみると、どうやらその足音が聞こえてきているようです。
2011年
6月
02日
木
組織に属するものは、組織における共通目標に向かうべきである。
当たり前のことだったりします。
そうでなければ、組織にとって、その従業員はブレーキにしかならないわけです。
意見というのは、その組織の目標達成のための手段等を提案することです。
不満というのは、個人のわがままです。
従業員に自由に発言を求めると、これらが混ざってしまいます。
また、同じことを言っていたとしても、その発言の仕方によって、意見にもなるし不満にもなります。
このあたりは、自由に発言を求める場合に、基礎的な知識としてしっかり説明しておく必要があるわけです。
また、自由とわがままというのも混ざりがちです。
もちろん、従業員は自由であるべきです。
変な抑圧をかけるようなことが組織内であってはなりません。
ただし、あくまでも組織です。
個人のわがままが通るのはおかしいわけです。
そこの違いですが、一番の違いはやるべきことをやっているのか、その自由を実現するための手順に誤りがないのかというところだと思います。
自分がやるべきことをしっかりとやらずに自分勝手にやりたいことをやろうとするのは単なるわがままです。
しかし、やるべきことをやった上で、組織の目標達成に資する、新しい自分のやりたいことにチャレンジしていくことを妨げる理由はありません。
『自由な組織』というのは理想的な組織です。
しかし、その前提にある義務と権利を忘れてしまったとき、それは単なる『無法地帯』になりかねないのです。
2011年
2月
23日
水
経営者としては、人件費という費用について、できれば抑えたいのが本音です。
抑えた分だけ利益になるわけですから。
ただ、単純に抑えたいということではなく、『無駄な人件費』を抑えたいというのが真意です。
頑張ってくれる、利益に貢献してくれるのであれば、これ以上ない効率的な投資になるわけです。
で、今日のテーマ、適正な人員数ですが、医療機関、いわゆるクリニックでよく質問を受けます。
『うちぐらいの規模だと何人ぐらい雇うのが一般的ですか?』という感じの質問です。
もちろん、診療科目にもよります。一般的な話だと業種や職種ですね。
しかし、一番多く関係するのが、患者数です。これまた一般的な話だと業務量ということになります。
繁忙期と通常期の差が激しければ、どちらに照準を合わせるのかというところも大きなポイントになります。
繁忙期に合わせれば、残業が異常に多くなったりすることはありませんが、通常期に人がだぶつくことになります。
通常期に合わせれば、繁忙期にスタッフや社員に過剰な労働を課すことになってしまいます。
どちらが正しいか?
それに明確な答えはないと思います。
しかし、過剰な負荷をかけることはできれば避けたいですよね。
そう考えると、通常期にだぶつく人に何をしてもらえるのかを考えていくことが、最も建設的な考えということになるでしょう。
昨日もそんな話をしていて、いかにして余裕ができたスタッフに、その場のやらないと行けない仕事だけではなく、将来のためにやっておくべき仕事に手をつけてもらえるかというテーマになっていました。
そもそも、社員やスタッフと経営者では、リスクも違えばリターンも違う、意識は全く違います。
経営者目線では当たり前のことも社員やスタッフには、なかなかできないことだったりするものです。
社員やスタッフはさぼろうという意図ではなくても、できれば仕事は最小限で抑えたいと思っているケースが多く…。
そんな中、いろんなことをやってもらおうと思えば、その動機付けが最も重要になってきます。
給与面なのか、承認欲求なのか、経営参画の面白さなのか、個々の環境や性格も考えて対処する必要がありますね。
ちなみに、ごく一般的な診療所やクリニックでは、1日30名〜50名の患者さんだと、先生を除いて、午前中3名午後2名体制が多くとられています。
2011年
2月
22日
火
今、とある病院のスタッフ、とくに看護師さんの賃金データの分析をしています。
今まで金額の記載された賃金規程もなく、その場その場でベストを尽くして賃金決定されてきたのですが、矛盾もたくさん生じていて、まずは一度チェックしたいとのことでのご相談でした。
実際にデータを見てみると、その場その場で一生懸命考えて決定されたのでしょう。
一定レベルのルールというか法則を見受けられました。
データだけを見ていれば、そんなに変な状態にはなっていません。
ただ…。
その賃金傾向と、実際の経営者や人事担当者の方向性が合致しているのかが問題です。
たとえば…。
医療機関の資格職全般に言える特徴ですが、勤続年数の短さがあります。
ニーズの高い資格職だけに、職にあぶれることもありません。
職務内容も、看護師資格が必要な業務に限定されているケースが多いので、転職しても、比較的即戦力で働くことができます。
ですから、転職にリスクがありません。
ゆえに、全般的に勤続年数が短くなります。
ただ、そんな中でも、公的病院での勤務期間は比較的長い傾向にあります。
その違いは…。
賃金制度です。
もちろん、業務の質の部分もあるとは思いますが、公的病院の賃金制度は、公務員的ですから、年功序列がベースになっています。
長期勤続優遇で長くいればいるほど、待遇は良くなります。退職金制度もかなりのものがあります。長くいるほうが得なのですから、長く勤務して当然です。
逆に、一般的な病院や診療所は、流動的な人材を中途採用で確保していく必要もありますから、中途採用の条件を上げる必要があります。
年功序列賃金制度は、通常、当初の条件は低いものになりますから、中途採用において、労働条件を見比べられれば、他に見劣る条件となり不利になるのです。
ですから、払える賃金額は限度がありますから、結果的に、年功序列賃金制度ではない賃金制度になり、長期で在籍することに魅力を感じてもらえないという結果につながるのです。
それでも、長期勤続を願うなら、中途採用市場で不利になったとしても、長期勤続者を優遇する賃金制度にすること、それがわかる賃金制度•規程を作ることになります。
そして、働いている人からの紹介で人材を確保していくことができるようになれば、長期勤続を望んでいるとすれば、最も良い状況が生み出されることになります。
看護師さんの横のつながりってすごいですからね…。
もちろん、長期勤続を望んでいないのなら、その場の賃金を最大限に上げることが最適です。
賃金制度は、労働者に対して、何を求めているかのメッセージです。
どこにでも適応できる最高の賃金制度など存在しません。
その業界、職種、組織、経営者に合った賃金制度を採用することが、経営者として最も納得のいく結果を作り出してくれるのです。
2011年
2月
17日
木
【質問】
辞められると困る社員が、たびたび辞めると言ってきます。条件を良くしたり、言い分を聞いたりしながら引き止めていますが、どこまで要求されるか不安です。どうすれば良いでしょう?』
【回答】
①辞められると困りますか?困りますが、何とかなるのではありませんか?
②本当に辞める気があるのでしょうか?引き止められるのがわかってるのではありませんか?
【解説】
辞められると、業務が止まってしまう。
辞められると、業務が滞る。
辞められると、あの業務は誰もできない。
ただ、結構何とでもなるものです。
もちろん、多少の不都合はあるでしょうが、なんとかなるものです。
それよりも、そうした変に力を持った社員がいることのほうが問題です。
組織の中で一番権力を持っているのがその社員ということにでもなれば、それこそ問題です。
他の社員をも巻き込んだ大量退職をほのめかしたりしてくるとさらにやっかいです。
毅然とした態度で接することが大切です。
辞めて欲しくない社員を持つことは、とてもすばらしいことです。
しかし、辞められると困る社員を持つことは、あまり好ましくありません。
実際、辞めるとは言ってきていても、自分で自分が辞めるのを経営者が恐れていると思っているので、引き止められると確信して言ってきています。
もちろん、毅然とした態度で接することで、実際に退職することになるかもしれません。
しかし、先ほども説明したとおり、多少の不都合はあっても何とかなるものです。
ずっと、そうした脅しにおびえていることとどちらが良い状態なんでしょう?
ただ…。
前述の通り、辞められると困る社員を持つこと自体、あまり好ましくないわけです。
・一人しかできない業務を作らない。
・仕事を抱え込むことを良しとしない。
上記の2点が大切になります。
・誰にもできない業務をしている。
・多くの仕事を1人でこなしている。
言い換えれば、上記のような良い社員ということになってしまいます。
しかし、上記の2つを兼ね備えた社員というのは、自身の存在価値を高めるために、他者へ業務をゆずらないという傾向があります。
新人を多く辞めさせるタイプです。
もちろん、管理上、承認の意味合いで、存在を認めてあげることはなにより重要ですが、自分がいなくても何とでもなるという環境にしておくことは、異常な権利主張を抑えるためには有効となります。
2011年
2月
01日
火
今日は家族手当のお話です。
家族手当は法律上、何の支払い義務もない手当です。
もともとの手当の支給根拠は、社員を家族と考える従来の雇用形態における、生計補助の意味合いが強いです。
仕事ができようができなかろうが、能力があろうがなかろうが、扶養家族がいれば支給するわけです。
成果主義賃金制度がもてはやされた時代に廃止が相次ぎ、年功序列賃金制度が見直されるなか再度見直されたと思いきや、子ども手当の支給で廃止が検討されている手当です。(笑)
最近、子ども手当の影響で検索される機会も多いようで、私のブログへの到達も多くなっているようです。
家族手当について、何故作っておいて良かったと感じるタイミングは、作る行程にあります。
多くの場合、昔からの慣習により、なんとなく払っているケースが多く、払いたい対象に払えていないケースも多いようです。
そもそも、扶養しているという概念は、何によって決定されるのか?
扶養控除申告書?
健康保険証?
世帯主?
扶養されるタイミング、扶養されなくなるタイミング?
曖昧になっているところが多いように見受けられます。
ちゃんとした風の就業規則でも曖昧になっているケースがあり、どうしたら良いですかと相談を受けることも多々あります。
都度、状況に適した回答はしていますが、対処療法ではなく、根本的に規程を見直す必要があるわけです。
支給用件に加えて、申請が遅れた場合、それが支給開始の遅れなのか、支給中止の遅れなのか。
どう対応するのかといったことも明快に決めておかないと、不公平、さらには不満につながってしまいます。
気になっている方、ドキッとした方は、この際に一度見直してみてください。
2011年
1月
31日
月
今日は、賃金データの分析についてのご依頼に対してのインタビュー。
賃金というのは、労働条件の要です。
今日のお客様は、過去は鉛筆なめなめで給与を決定してこられたお客様。
ただ、特殊な資格職の中途採用で、前職の給与額を主張されて、適正な給与額を設定できなかったり、そのアンバランスさから、退職者が出てしまったり…。
給与の額自体に不満を持って退職するケースは案外少ないです。
他者に比べた自分の給与が少ないことに、不満を感じるのが人間です。
ちゃんとしたルールがないと、どうしても、そういった不均衡が生じてしまいます。
それにちゃんと向かい合おうとされる、今回のお客様、素晴らしいと思います。
不満を少しでも抑えられるように、賃金制度の改定までお付き合いさせていただきます。
2010年
12月
20日
月
【質問】
普段の勤務態度が悪いので、わからせてやりたくて、賞与を半額にしました。問題があるでしょうか?
【回答】
下記の3点について、状況確認が必要です。
①賞与の額がどのように決められているのか?
②勤務態度の悪さは、賞与を半額にしてしまうほどのものか?
③賞与の減額までに、どの程度の注意指導が行われたのか?
④事前に減額の説明がされていて、労働者がどの程度納得しているのか?
それらを総合的に考えて、減額が適正かどうかを判断します。
多くのケースでは適正でないとされる可能性が高いです。
【解説】
①賞与の額がどのように決められているのか?
労働者には期待権という権利があります。
建前上、本人の勤務態度が悪かった場合や業績が悪い場合には減額や不支給があると定義してあっても、実際にはいつも同じ額や同じ率で支給がなされてきた過去の実績があると、その過去の実績が、慣例としてルール化してしまう場合があります。
当たり前にもらえるものだと、労働者が認識してしまうほどの支給実績が必要ではありますが、そうなっていると、簡単には減額しづらいと思ってください。
②勤務態度の悪さは、賞与を半額にしてしまうほどのものか?
賞与を半額にするとなると、通常はかなり大きな額になります。
場合によっては、1ヶ月の給料分になることもあるでしょう。
1ヶ月の給料分を減額するということは、1ヶ月の欠勤をおこなったのと同じことです。
それくらい、勤務態度が悪かったのかということが争点になるわけです。
③賞与の減額までに、どの程度の注意指導が行われたのか?
多くの経営者がやってしまうのが、口頭では注意せずに、突然給料を減額するというやり方です。
これは、最もまずいやり方です。
口頭での注意というのは、実際、やりづらいものではあります。
しかしながら、突然の減額というのでは、本人に自覚がなければ減額を防ぎようがありません。
事前に、問題点を告げて、注意して、改善を図って、その上で改善がなければ減額という段取りを踏まない限り、労働者も納得するはずがありません。④の部分は、この行程の中で、どれだけうまくコミュニケーションが取れたかという判断項目になります。
繰り返しになりますが、口頭で言いづらいから、給与を下げてわからせるというのは、最低の手段です。
普段からコミュニケーションを取って、『お願い』レベルから始めて、『問題点として指摘』、『注意』、『改善手段の検討』と進めていくことが大切です。
2010年
12月
08日
水
『誰でもよめる、誰でもわかる就業規則』の話はお休みして…。
以前のブログ記事の内容で不明確だった点について、最終的な結論が出ているので、そちらをまとめさせていただきます。
簡単に言うと…
『平成23年から、16歳未満が所得税の扶養から外れますが、家族手当の支給基準(要件)を、所得税法上の扶養親族としている場合、当然に16歳未満の家族が支給根拠となっている家族手当を支給中止できますか?あるいは継続支給する場合には、賃金規程の変更が必要ですか?』
という質問です。
まず、所得税法上の定義ですが…。
①平成23年より、所得税法において控除対象扶養親族という定義がなされました。
②控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、16歳未満の者を除いた扶養親族です。
③扶養親族は従来の定義のまま残されました。
家族手当の支給要件ですが…。
法律上、何の規制もありません。
所得制限を設ける場合の基準として一般的なのが、以下の2つです。
①所得税法上の扶養親族
②医療保険上の扶養家族
ということで…。
扶養親族という言葉自体、意味が変わらず、従来通り、16歳未満も含め、所得が38万円以下の親族という定義はそのままです。
結果として家族手当の支給基準(要件)も何ら変わらないという結論にあいなりました…。
控除対象扶養親族という言葉自体、今回定義された言葉なので、過去の賃金規程に記載されているはずもなく、結果的には、取り越し苦労的な感じです。
ただ、これを機会に、家族手当を減額・支給中止しようと思っていた組織には困った定義になったと言えます。
当初の予測から減額・支給中止で進めていた場合は、意見聴取・同意の違いや、変更理由の説明について加える必要も出てきます。
慎重に対応しましょう。
2010年
11月
30日
火
【質問】
降格に伴う減給を行おうと思います。注意したほうが良いことはありますか?
【回答】
そもそも、降格が適切であるかというところで、注意が必要です。
その上で、降格により、役職や等級が変わって、賃金規程上、ルール上、当たり前に減額されるような場合であっても、その金額や降格理由によって、即時減額か段階を踏むべきかも判断されます。
解雇等の懲戒処分は、注意・指導・改善期間と適切な段取りが踏まれたのかが、その処分結果が適切かという判断に影響をあたえます。
【解説】
賃金減額の種類
①即時減額
処分を行うその月から減額します。
②減額予告・調整手当
処分の通知を行ったあと、一定期間後に減額を行います。
生活の激変緩和が目的です。
即時、減額分を、調整手当に変更します。
変更分については、1年間の有期の手当とし、行動の改善がなければ、そのまま終了。行動の改善があれば、再度昇給を行い、調整手当と相殺するわけです。
③一定期間後見直し機会
とりあえず減額しますが、通常の昇給検討ではなく、減給前の状態に戻れるかどうかを検討するような機会を設けます。
賃金減額自体、通常、強引にやりづらい処分です。
解雇回避措置としての減額処分くらいのニュアンスでなければ、認められないくらいで思っておかれるほうが無難です。
実行する場合は、理由は当たり前として、生活への影響を考慮して対応する必要があります。